淡路島暮らしを決めるまで(5)

翌朝目を覚ましてみると・・・
不思議なことに、あれほど気に入っていた晴美が丘のお家は砂の城のようにサーッと崩れ去ってしまったように感じました。
しかも、倉庫のお家までもが煙のようにおぼろげになって、今にも消え入りそうでした。

残っているのは、はるか遠くに見えるニュージーランド。
今この時点と、ニュージーランドとの間には雲のようなものが横たわっていて
ここからどうやってあそこにたどり着くのか、もはやわからなくなっていました。

ただ確かなことは、昨日「キラキラスポット」で見かけた一人の女性。
農作業着で、しゃがんで庭仕事をされている後ろ姿に思わず声をかけたくなりました。
それから、その向かいにある瓦の焼き釜。
夏に初めて通りかかったとき、ここで瓦を焼いてみたい!と思ったこと。
この2つだけは、私の心の中で変わらない輝きを放っていました。
「津井」にこそ、私たちが淡路島に住もうと思った何かがあるのは間違いないのです。

その日は、京都の片野ふくこさんが出品する展覧会を見に行く予定だったので、
とり急ぎ車で京都に向かいました。
(その時の展覧会の様子は「京都の一日と初めて描いた四角」にて)

ギャラリーに着いて片野さんとの再会を喜び、
展示されている数々の作品を拝見していると
ふと、玉ねぎの皮で染められたスカーフに目が留まりました。
それをきっかけにその作品を作られた佐々木好子さんとの会話が始まり、
佐々木さんは気さくにご自分の作品集のアルバムを見せてくださいました。

その中で、色とりどりの羊毛で作られた作品を見かけたとき、
思わず「わーきれい☆」と声を上げていました。
すると、佐々木さんは間髪入れず「あなたにこれを差し上げるわ!」とおっしゃったのです!
あまりに突然のお申し出に驚きましたが、
私がこの作品を一目で気に入ったのをとても喜んでくださって
家に眠っているこの作品をぜひお譲りしたいとおっしゃるのです。
なんという思いがけず嬉しいご提案☆

その瞬間、この作品を倉庫のお家に飾ったら素敵だろうなと感じたのです。
倉庫だからこそ、自分たちの感性でいろいろ工夫ができるかも!

今にも消え入りそうだった倉庫のお家の可能性が、一気に現実味を増してきた瞬間でした。

(続く)


後日、佐々木さんが送ってくださった作品「四季」。
春夏秋冬の景色を様々な色の羊毛で表現されています。
このご縁に心から感謝いたします☆


Categories: インスピレーション, 淡路島暮らし | 投稿者 arciel | 11:34 | コメントはまだありません