六ヶ所村ラプソディー

2月3日の土曜日、ポレポレ東中野にて映画「六ヶ所村ラプソディー」を観てきました。
今年中に稼動を予定している青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の実像をとらえたドキュメンタリー映画で、2年間にわたって反対派と推進派の人々の両方の視点をできるだけ客観的に、丁寧に追った作品です。

映画では、六ヶ所村の美しい自然と、そこに住む人々の日々の営みが淡々と描かれています。反対派の人は、チューリップ畑を営む女性や、有機栽培の野菜や稲を育てている農家の方々です。再処理工場の稼働が始まってしまうと、自分たちの農作物が汚染されてしまうことを危惧しています。
一方推進派には、様々な葛藤を抱えながらも子供を養っていくために再処理工場で働く人や、再処理は安全だとして、今更後戻りはできない、共栄共存をはかるべきだと語る人たちがいます。

映画を見ながら、こんなことがいつの間に起こっていたのだろうと愕然となりました。
六ヶ所村の再処理工場は、原発で使った燃料からプルトニウムを取り出すための工場です。工場が稼働すれば、大気中に放射能物質を含んだ気体が放出され、海水にも放射性物質が排出されてしまいます。
再処理工場が1日に排出する放射性物質は、原発1年分に相当するそうです。
さらに一旦工場が稼働してしまうと、30年間は稼働し続けると言われています。そうしなければ建設費などの費用が黒字にならないからだそうです。

そうなれば、六ヶ所村はもちろん、近隣の海や自然にも影響があるに違いありません。
また、プルトニウムは角砂糖5個分もあれば国民全員が死ぬほどの猛毒物質です。プルトニウムを原発に運ぶ輸送の過程で、外に漏れる危険性も計り知れません。

しかし、私はその事実を「知らなかった」のです。
知らなかったというより、知ようともしなかったというのが正しいのかもしれません。
毎日電気を使わない日がないように、私たちは原子力発電の恩恵に預かっています。
しかし、その影の部分を見ずにすべて六ヶ所村に押し付けてしまっていたのです。

再処理工場の本格稼働は今年の8月を予定していましたが、11月に延期になったと鎌仲ひとみ監督がおっしゃっていました。
まずは一人でも多くの人がこの映画を観て、事実を知ってほしいと思います。
私たちの意識が変われば、何かが変わるかもしれません。

映画の後半で、有機栽培のお米を作っている女性がこう言っていました。
「なんで私が中立から心配派に変わったかというと、ある先生に、中立っていうのは、いい言葉だけど、核燃に関しては、賛成か反対しかないんだよって言われたの。ただ見ているだけというのは容認していることだから賛成派なんだよって。だって、反対って言わないし、行動もしないしって。・・・でもその中立の怖さみたいなのを、誰も深く考えないの」

「六ヶ所村ラプソディー」公式サイト http://www.rokkasho-rhapsody.com/
「六ヶ所村ラプソディー」公式ブログ http://ameblo.jp/rokkasho/
坂本龍一さんによるSTOP ROKKASHOウェブサイト http://stop-rokkasho.org/


Categories: 地球環境 | 投稿者 arciel | 14:32 | 4件のコメント